老後の資金を自宅を活用して賢く作る3つの方法とは

老後の資金が心配…
そんな不安を抱えている方に、自宅を有効活用して資金を得る3つの方法をご紹介します。ここでは、「売却」「リースバック」「リバースモーゲージ」という3つの選択肢を分かりやすく解説し、それぞれの特徴をまとめてご紹介します。

目次

1.老後の資金作りが重要な理由

老後の生活を安心して過ごすためには、十分な資金が必要です。仕事を引退し、収入が年金だけになると、予期しない病気や怪我の治療費、介護費用、保険料など、突発的な出費に対応できる資金を確保することが難しくなるかもしれません。 シニア世代にとって、老後の資金をどう準備するかは大きな課題の一つです。

年金や退職金、資産運用の収益、そして貯蓄だけで老後の生活に十分な安心感を得られない場合、自宅を資金源として活用することも一つの方法です。持ち家やマンションがあれば、その不動産を活用して必要な資金を確保することができるかもしれません。

2.自宅を活用する3つの方法とは?

自宅を利用して老後の資金を作るには、「売却」「リースバック」「リバースモーゲージ」の3つの方法があります。それぞれの仕組みを理解することで、自分に最適な選択肢を見つけやすくなります。ここでは、これらの方法を一つずつ詳しく見ていきましょう。

(1)自宅を売却する

まずは、自宅を売却して資金を得る方法です。一般的には、不動産会社を通じて自宅を売却し、現金を得ることになります。売却の際、代金は通常、売買契約時と物件引き渡し時の2回に分けて支払われます。売買契約時には代金の5~10%を受け取り、残りの金額は引き渡し時に支払われます。

この方法を選ぶと、新しい住まいとして賃貸物件を借りたり、新しい家を購入したり、老人ホームに入居することが一般的です。

(このような方におすすめ)

  • 老後に生活環境を一新したい方
  • 夫婦二人で小さな住まいを希望する方
  • 病院が近くて治安の良い場所に引っ越したい方

自宅を売却することで、新たな環境で老後の生活を始めるチャンスが生まれます。

(2)リースバックで住み続ける

次に、リースバックという方法があります。これは、自宅を売却しながらも、売却後にそのまま同じ住居に住み続けるというものです。売却時に不動産会社等と賃貸契約を結び、自宅を売却した代金を一括で受け取りながら、家賃を支払って住み続けます。

この方法の大きな特徴は、売却によって得た資金を確保しながらも、住み慣れた家にそのまま暮らせることです。

(このような方におすすめ)

  • 老後も住み慣れた場所で暮らしたい方
  • まとまったお金が急に必要な方
  • 生活費としての資金を確保したい方

リースバックを利用することで、引っ越しの手間なく、今の住環境を維持したまま資金を得ることができます。

(3)リバースモーゲージで資金を借りる

最後に、自宅を担保にして資金を借りる「リバースモーゲージ」という方法です。この方法では、金融機関や一部の社会福祉協議会から融資を受けることができ、借入金は一括または分割で受け取ることができます。

借入金の返済は、基本的に利息のみを支払い、借入者が死亡した際や契約が終了した際に、担保としていた自宅の売却代金や年金、貯蓄などで一括返済する仕組みです。借入額や金利、資金の用途、担保物件の条件など、借入先によって異なるため、利用前には自分の条件に合った機関を選ぶことが重要です。

(このような方におすすめ)

  • 定期的な収入があり、利息のみの返済が可能な方
  • 自宅を手放すことなく資金を確保したい方
  • 融資額や利用条件に柔軟性を求める方

リバースモーゲージでは、融資を受けながらも自宅に住み続けることができるため、老後の生活資金を確保しながら、自宅の所有権を保ちたい方に適した方法です。

以上、「売却」「リースバック」「リバースモーゲージ」の仕組みについて説明しました。これら3つの方法は、住宅ローンがまだ完済されていない場合でも、申し込むことは可能です。

ただし、注意が必要なのは、住宅ローンの残高がある場合、売却価格や融資額がローンの残高を下回ってしまうと、これらの方法を利用できなかったり、老後の生活資金が十分に確保できなくなる可能性がある点です。そうしたリスクを理解し、慎重に判断することが重要です。

3.どの方法が自分に合う?3つの方法の比較表

これまで紹介した3つの方法について、「利用条件」「現金化の早さ」「費用負担」の観点から、それぞれの違いを比較しています。どの方法が自分に適しているか確認してください。

① 売却

  • 利用条件:特になし
  • 現金化の早さ:申込後、2か月〜11か月程度。売却後、2回に分けて代金が支払われる。
  • 費用負担:仲介手数料、売却益の所得税

② リースバック

  • 利用条件:契約後、家賃支払い能力があること。住宅ローンの残債が売却価格を上回っていないこと。
  • 現金化の早さ:申込後、2週間~1か月程度。売却後すぐに一括で代金を受け取る。
  • 費用負担:仲介手数料、売却益の所得税、月々の家賃(売却価格×6〜10%÷12か月)

③ リバースモーゲージ

  • 利用条件:対象物件、年齢、収入、同居できる家族、資金用途、相続人の承諾などが利用条件を満たしていること。
  • 現金化の早さ:申込後、2週間~1か月半程度。原則、分割で支払われるが、一括で支払われる場合もある。
  • 費用負担:利息支払(3〜5%)。住宅ローンよりも負担は少ないが、元金は減らない。

(利用条件について)

まず、各方法の利用条件について見ていきましょう。売却の場合、特に大きな利用条件はありませんが、物件の老朽化や立地によっては売却が難しいこともあります。一方、リースバックは家賃支払い能力や住宅ローン残高が売却価格を超えていないことが条件です。

リバースモーゲージは、最も多くの利用制限があります。これは、売却やリースバックが物件の所有権を譲渡するのに対し、リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けるためです。対象物件や年齢、収入、同居できる家族の有無、資金の用途、相続人の承諾など、複数の条件を満たす必要があります。

(現金化の早さについて)

現金化の早さについても比較してみましょう。売却は、物件が売れるまで時間がかかることがありますが、リースバックは比較的早く現金化できます。リバースモーゲージも、リースバックに比べると少し時間がかかることがあるものの、条件次第で一括または分割で資金を受け取ることができます。

どの方法が最適かは、「資金をいつ使いたいか」によって変わります。例えば、住宅のリフォームや住み替えのための費用が必要なのか、日常の生活費に充てたいのかで、選ぶべき方法が異なるでしょう。

(費用負担について)

費用負担に関しても、それぞれの方法で異なります。売却とリースバックの場合は、仲介手数料と売却益に対する所得税がかかります。また、リースバックでは、毎月の家賃も発生します。リバースモーゲージの場合は、利息のみを支払うため、長期間にわたると元金の返済が不要な点がメリットですが、契約終了時には自宅の売却が必要になる可能性があります。

各方法の費用負担をしっかりと理解し、自分のライフプランに合わせた選択をすることが大切です。

4.実行前に家族と相談する重要性

自宅を活用して老後の資金を確保する方法は、便利で効果的ですが、一方で財産である自宅を手放すことや、新しい住環境への移行が必要になる場合もあります。これらの方法を利用する際には、必ず家族と相談し、理解と同意を得ることが大切です。早めに計画を立て、家族全員で安心して老後を迎えるための準備を進めましょう。

自宅を活用することで、老後の資金問題を解決し、安心して暮らせる未来を手に入れることができるかもしれません。最適な方法を選び、豊かな老後を迎えましょう。