シニア向け分譲マンションとは? その特徴とメリット・デメリットを詳しく解説

シニア向け分譲マンションとは? その特徴とメリット・デメリットを詳しく解説

シニア向けの住宅や施設のひとつとして、シニア向け分譲マンションがあります。しかし、そのメリットや他の施設との違いがよくわからないという方も多いかもしれません。

この記事では、シニア向け分譲マンションの特徴についてわかりやすく解説します。また、マンションの探し方や入居までの大まかな流れもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

シニア向け分譲マンションとは?

シニア向け分譲マンションとは、高齢者が快適に暮らせるようにバリアフリー設計が施され、充実した設備やサービスが整っている分譲マンションのことです。娯楽施設や食事提供、フロント対応なども充実しています。

シニア向け分譲マンションの主な特徴について、以下に詳しく説明します。

(1)入居条件

・基本的に自立した生活ができる高齢者

(2)設備やサービス

・娯楽設備(温泉、プール、カラオケルーム、レストラン、図書室など)を備えていることが多い

・居室内はバリアフリー設計で、広さは35〜100㎡が一般的

(3)物件価格や管理費

・物件価格は数千万〜数億円と幅広い

・月額費用の相場は約10万〜30万円程度

それぞれの特徴について詳しくご説明します。

(1)入居条件

シニア向け分譲マンションは、基本的に自立した生活ができる高齢者が対象です。多くの場合、入居年齢の下限は60歳ですが、一部のマンションでは50代から入居可能なところもあります。また、要支援1〜2、要介護1〜5の方も住むことができますが、介護サービスは提供されないため、必要に応じて外部業者に委託する必要があります。介護が必要になった場合でも、外部サービスと連携して対応できるため、安心して生活を続けることができます。

(2)設備やサービス

シニア向け分譲マンションの設備はマンションごとに異なりますが、温泉、プール、カラオケルーム、レストラン、図書室などの娯楽施設が充実していることが多いです。居室はバリアフリー設計で、35〜100㎡の広さがあり、キッチン、トイレ、浴室が完備されているため、快適に暮らせます。居室やトイレ、浴室には24時間対応の緊急通報装置が設置されていることが多く、万が一の時も安心です。また、食事の提供やフロントでの各種サービスも利用可能ですが、介護サービスが必要な場合は外部業者に委託する必要があります。

常駐するコンシェルジュによる暮らしのサポートも魅力で、緊急時の対応や安否確認、近隣施設の紹介、サークル活動のサポート、イベントの開催、日常生活の困りごとまで幅広く対応してくれます。看護師が常勤しているマンションでは、健康相談や病院の紹介が受けられるため、医療面でも安心です。

(3)物件価格や管理費

シニア向け分譲マンションの価格は、立地やグレードによって大きく異なり、数千万から数億円と幅広い範囲で設定されています。購入することで「所有権」を得るため、後に売却したり相続したりすることも可能です。管理運営は入居者による管理組合が担当するため、一般のマンションと同様の仕組みとなります。

月々の費用については、管理費や修繕積立金がかかります。また、年に4回の固定資産税などの税金も支払う必要があります。さらに、フロントサービスや見守りサービス、食事の提供、施設利用料などが加わり、月々の費用の相場は約10万〜30万円程度です。介護サービスが必要な場合には、別途外部事業者への介護サービス利用費が発生します。これらの費用は施設によって異なるため、具体的な費用は各マンションで確認することをお勧めします。

シニア向け分譲マンションとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の違い

シニア向け分譲マンションとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、自立した高齢者を対象にしている点で共通していますが、権利形態や費用面で大きな違いがあります。これらの違いを理解しておくと、自分に合った住まいを選ぶ際に役立ちます。

(1)シニア向け分譲マンション

権利形態: 分譲マンションとして購入し、「所有権」を得ることができます。自分の資産として所有できるため、売却や相続、賃貸などが可能です。

初期費用: 購入時の初期費用が高額で、転居も難しい場合があります。

サービス・施設: 娯楽施設やレクリエーション活動が充実しており、アクティブな生活が楽しめます。

(2)サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

権利形態: 「終身賃貸借契約」に基づく賃借権で、所有権はありません。

初期費用: 初期費用が比較的安価で、転居もしやすいです。

サービス・施設: バリアフリー対応、安否確認、生活相談、生活支援サービスなど、基本的なサポートが受けられます。

このように、シニア向け分譲マンションとサ高住には、それぞれ異なる特徴とメリットがあります。自分のライフスタイルや将来の計画に合わせて、どちらが適しているかを考えると良いでしょう。

シニア向け分譲マンションのメリット

シニア向け分譲マンションには、多くのメリットがあります。ここでは、その主な利点を三つご紹介します。

(1)自分の資産として所有できる

シニア向け分譲マンションを購入することで、その物件の「所有権」を得ることができます。これにより、自由にリフォームしたり、将来的に相続や売却、賃貸することが可能です。一般的な分譲マンションと同様、長期的な資産管理ができます。

(2)生活の自由度が高い

シニア向け分譲マンションは、自分のライフスタイルに合わせた自由な生活が実現できます。多くの物件では、キッチン、浴室、トイレが独立しており、自炊も可能です。また、介護施設のように細かなスケジュールや制限がないため、外出や外泊も自由に行えます。家族や友人との面会も、生活に制限を加えることなく楽しむことができます。

(3)充実したサービスと娯楽設備

多くのシニア向け分譲マンションには、レストラン、カラオケルーム、プール、フィットネスジム、ビリヤード台、図書室など、さまざまな娯楽設備が整っています。さらに、サークル活動や季節ごとのイベントなど、入居者同士の交流が豊富です。これにより、楽しく充実した生活を送ることができます。施設によって設備やサービスの内容は異なるため、事前にしっかりと確認しておくことをおすすめします。

シニア向け分譲マンションは、資産性、自由な生活、充実した設備という三つの大きなメリットを提供し、安心して快適な老後を過ごすための選択肢となります。

シニア向け分譲マンションのデメリット

シニア向け分譲マンションには、いくつかのデメリットも存在します。以下にその主な三つのデメリットを説明しますので、購入の際にはこれらも考慮し、他の高齢者施設と比較してみてください。

(1)購入費用・月額費用が高い

シニア向け分譲マンションは、初期の購入費用が高額です。これは物件の立地や設備の充実度によりますが、数千万から数億円と幅広くなります。また、購入後も管理費や修繕積立金に加え、食事、フロントサービス、見守りサービスなどの利用料が毎月かかります。さらに、固定資産税も発生するため、全体としての費用は高めになる傾向があります。

(2)要介護度や認知症が進行すると住み続けるのが難しい

シニア向け分譲マンションでは、介護サービスは基本的に外部の業者に依頼する形になります。したがって、要介護度が重度になったり、認知症の症状が進行した場合には、これらのサービスだけでは生活が難しくなることがあります。このような場合には、介護付き有料老人ホームなど、より専門的なケアを提供する施設への移転を検討する必要があります。

(3)物件数がまだ少ない

シニア向け分譲マンションの市場は、まだ物件数が少ないため、選択肢が限られています。希望する地域に適した物件が見つからないこともあります。また、売却や賃貸に出す際も、事例が少ないため相場が不明瞭だったり、特殊な入居条件が設定されている場合が多く、手続きに時間がかかることがあります。

これらのデメリットを理解し、購入前にしっかりと情報収集することが重要です。他の選択肢と比較しながら、最適な住まいを選ぶ参考にしてください。

シニア向け分譲マンションの選び方

シニア向け分譲マンションを選ぶ際には、以下のポイントを押さえてじっくりと検討しましょう。ネットでの情報収集だけでなく、実際に現地を訪れ、自分の目で確かめることが重要です。

(1)周辺施設の確認

スーパーや医療機関が徒歩圏内にあり、日常生活に便利な場所に位置しているか確認しましょう。

(2)交通アクセス

駅やバス停が徒歩圏内にあり、公共交通機関の利用が便利かどうかチェックしてください。

(3)歩きやすさ

建物周辺の道路が平坦で歩きやすいかを確認し、安全に移動できる環境かどうか見極めましょう。

(4)コミュニティ

マンション内のコミュニティが活発で、良好な人間関係が築けるか調べることも大切です。

(5)家族との距離

自分の家族がすぐに訪れることができる距離にあるかを考慮しましょう。

(6)室内設備

室内の設備が自分の生活スタイルに合っているかを確認します。

(7)娯楽施設

娯楽施設の種類や内容が充実しているかもチェックしておきましょう。

(8)サービスの内容

提供されるサービスや食事が自分に合っているか確認し、必要なサポートが受けられるかを考えましょう。

(9)介護サービス

介護が必要になった場合のサービス体制や、毎月の支払いが可能かどうかも検討しておきましょう。

(10)住み替えの準備

要介護度や認知症が進んだ場合の住み替え資金に余裕があるかも考えておくと安心です。

これらのポイントを参考に、自分に最適なシニア向け分譲マンションを見つけましょう。

シニア向け分譲マンションに住むまでの流れ

シニア向け分譲マンションの探し方から入居までの流れを五つのステップに分けてご紹介します。各ステップでのポイントを押さえ、スムーズな入居準備を進めましょう。

(1)情報収集と資料請求

まずはインターネットでシニア向け分譲マンションを調べ、気になる物件を見つけます。気に入った物件があれば、資料請求をして詳細な情報を取り寄せましょう。

(2)問い合わせと見学

いくつかの候補が決まったら、各施設に問い合わせをし、見学を実施します。見学では、サービス内容、スタッフの対応、食事、入居者の雰囲気など、資料だけでは分からない情報を得られます。複数の物件を比較することが大切です。

(3)購入申し込みと面談

気に入った物件が決まったら、入居申込書に必要事項を記入し、運営会社に提出します。申し込み時に数万円の証拠金を求められる場合もあります。申込み後、入居審査が行われ、要介護度や介護の必要性、資産や収入などが確認されます。住宅ローンを利用する場合は、ローンの申し込みと審査も進めます。

(4)契約

入居審査に通過したら、運営会社から重要事項説明を受けた後、手付金を支払い、売買契約を結びます。住宅ローンを利用する場合は、住宅ローン契約も締結します。その後、残金の支払いと本人確認書類、印鑑、収入証明、健康診断書などを運営会社に提出し、契約が完了します。

(5)入居

いよいよ入居の日です。入居日までに必要な手続きや持ち物を施設に確認し、計画的に準備を進めましょう。新しい生活のスタートに向けて、しっかりと準備を整えてください。