老後も住み慣れた自宅に住み続けるためには、適切な対策が必要です。今回は、そんな対策として「リフォーム」「二世帯住宅」「見守りサービス」の3つの選択肢をご紹介します。
目次
1.老後も住み慣れた自宅に住み続けたい
老後の住まいについて考える際、多くの方が「住み慣れた自宅に住み続けたい」と希望されるのではないでしょうか。しかし、そのためには、老後の生活に適した環境を整えることが重要です。
ここでは、老後も快適に暮らせるようにするために「リフォーム」「二世帯住宅」「見守りサービス」についてご紹介します。
2.安心して暮らすために、自宅を改修しよう!
これからも住み慣れた自宅で暮らしていきたいと考えている方には、「リフォーム」や「二世帯住宅」の導入がオススメです。独り暮らしや夫婦二人暮らしの場合には、バリアフリー対応のリフォームが良いでしょう。一方、子どもと同居を考えている方には、二世帯住宅の検討が適しています。
それでは、具体的なリフォームのポイントや二世帯住宅について、もう少し詳しく見ていきましょう。
(1)リフォーム
老後も安心して暮らすためには、まず「自宅のバリアフリー化」が大切です。例えば、自宅の中をチェックし、段差や手すりの有無、温度差が気になる場所がないか確認しましょう。こうした点を改修することで、より安全で快適な住環境を作り出すことができます。
特に、温度差が大きくなる場所(例:脱衣所や浴室)は要注意です。急激な温度差は、血圧の変動を引き起こし、ヒートショックと呼ばれる危険な状態になることがあります。こうしたリスクを減らすために、断熱性能の高い窓や室内暖房を導入することが有効です。
また、老朽化した部分の修繕も重要です。特に屋根や外壁は、劣化が進むと修繕費用が高くなるため、定期的なメンテナンスを行い、早めに対策を講じることが大切です。
さらに、耐震性も重要なポイントです。昭和56年以前に建てられた家は旧耐震基準で設計されているため、耐震診断を受け、必要な修繕を行うことをお勧めします。
(2)二世帯住宅
子ども世帯との同居を希望される方には、二世帯住宅も一つの選択肢です。現在の自宅を改修して同居することも可能ですが、二世帯住宅にすることで、それぞれの世帯がより快適に暮らせる環境を整えることができます。
二世帯住宅のメリットとしては、建築費やローンを家族で分担できること、また日々の生活で助け合えることが挙げられます。ただし、異なる生活リズムの世帯が共に生活するため、プライバシーを守りつつ快適に過ごせるような間取りの工夫が必要です。たとえば、玄関やキッチンを共有にするか、住居スペースを階層で分けるなどの方法があります。
親世帯の住居部分は、老後の生活を見据えて、手すりの設置や段差の解消など、バリアフリー対応を考慮することが大切です。
3.リフォームや二世帯住宅の施工業者の選び方
老後の住まいをより快適にするためのリフォームや二世帯住宅の施工を成功させるには、信頼できる施工業者の選定が重要です。
(1)リフォームしたい内容に合った実績があるか
シニア向けの住宅改修には、豊富な実績を持つ施工業者を選ぶと安心です。特に、バリアフリー対応に関しては、福祉住環境コーディネーターが在籍する業者が適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。
施工業者の中には、水回りの修繕や壁紙の張り替えが得意な会社から、増改築や耐震工事を専門とする会社まで、得意分野が異なります。事前に業者の過去の実績を確認し、最適な業者を選ぶことが大切です。
(2)利用者に寄り添った提案をしてくれるか
施工業者を選ぶ際には、利用者の立場に立ってヒアリングし、適切な提案をしてくれるかを確認しましょう。具体的には、リフォームの目的や予算に合わせた改修プランを提示してくれるか、見積書が分かりやすく詳細に記載されているかをチェックすると良いです。
また、補助金や助成金、介護保険の利用についても、施工業者が適切に提案してくれるかどうかが重要です。こうした点を踏まえた上で、信頼できる業者を選びましょう。
さらに、アフターサービスの充実度も大切です。リフォーム後に不具合が発生することもあるため、アフターサービスの内容や保証範囲を確認することで、安心して業者に依頼することができます。
4.老後の安心を支える「見守りサービス」を検討しよう!
自宅での生活を快適に続けるためには、リフォームが一つの有効な手段ですが、さらに安心感を高めるためには「見守りサービス」の導入もおすすめです。
見守りサービスとは、遠くに住む家族や親族に自分の安否や健康状態を知らせることができるサービスのことです。多くの見守りサービスには、緊急時に救急センターと連携できる機能もあり、突然の体調不良や事故が起こった場合でも迅速な対応が可能です。このため、老後の不安を少しでも減らしたいと考えている方には非常に心強いサービスと言えるでしょう。
ただし、見守りサービスにはさまざまなタイプがあり、カメラを使って生活の様子を直接監視するものもあります。このようなタイプは、プライバシーに敏感な方にとって抵抗があるかもしれません。
そこで、プライバシーを重視しながらも安心感を得られる方法として、センサーを活用する見守りサービスが注目されています。このタイプでは、センサーを設置して住居内の動きを感知したり、家電の使用状況を監視することで、生活のリズムや動作の異常を把握することができます。これにより、直接の監視ではなく、適度な距離感を保ちながら見守ることができるのです。
見守りサービスは、安心・安全な生活を支えるための有力な手段の一つです。特に、高齢の親御さんが一人で生活する場合や、家族と離れて暮らす状況では、いざという時のために導入を検討してみる価値があります。
ぜひ、今から将来を見据えて、自分や家族に最適な見守りサービスを選び、安心して暮らせる環境づくりを始めましょう。
5.自分に合った見守りサービスの選び方
見守りサービスにはさまざまな種類があり、自分に合ったものを選ぶことが大切です。以下に、代表的な見守りサービスのタイプとその特徴をご紹介します。自分の生活スタイルに合ったサービスを見つける参考にしてください。
(1)訪問型
サービススタッフが定期的に自宅を訪問し、利用者の健康状態や生活状況をチェックするタイプです。
①メリット:
- スタッフと直接コミュニケーションを取ることで、利用者の状況や健康状態を把握しやすい
- 定期的に人と話す機会が持てるため、孤独感が軽減される
②注意点:
- 定期訪問のため、緊急時には対応が難しい
- 訪問時に時間が取られることがある
- 人とのコミュニケーションが苦手な人には向かない場合も
③こんな人におすすめ:
- 人との交流を楽しみたい方
- 自分の健康状態を直接伝えたい方
(2)センサー型
家電やガスメーターに設置したセンサーを利用して、利用者の安否を確認するタイプです。
①メリット:
- センサー設置のみで特別な操作が不要で、プライバシーが守られる
②注意点:
- センサーによる安否確認なので、細かな健康状態の変化は把握しにくい
③こんな人におすすめ:
- 普段通りの生活を続けたい方
- プライバシーを大切にしたい方
(3)カメラ見守り型
自宅にカメラを設置し、利用者の状況を映像で確認するタイプです。
①メリット:
- 利用者の行動や状態をリアルタイムで確認でき、僅かな変化にも気付きやすい
②注意点:
- プライバシーの問題や、常に監視されていると感じることで精神的な負担になる場合がある
③こんな人におすすめ:
- カメラによる見守りに抵抗がない方
(4)緊急時通報型
小型の通報装置を携帯し、緊急時にボタンを押すことで通報するタイプです。
①メリット:
- 24時間体制で緊急時に通報でき、プライバシーも守られる
②注意点:
- ボタンを押せない緊急時には通報できない場合がある
- 日常的な健康状態の確認はできない
③こんな人におすすめ:
- プライバシーを優先したい方
- 万が一の備えとして安心感を求める方
- 持病があり日常生活に不安を感じている方
- 一人暮らしが不安な方
(5)宅配・配食型
毎日の食事配達と同時に利用者の安否を確認するタイプです。
①メリット:
- 安否確認だけでなく、食事や栄養面もサポートしてもらえる
②注意点:
- 献立が決まっているため、好みの食事ができない場合がある
- 配達スタッフは医療や介護の専門職ではないため、健康状態の詳細なチェックは難しい
③こんな人におすすめ:
- 人と交流したい方
- 食事の準備が面倒に感じる方
見守りサービスは種類によって機能や特徴が異なるため、自分の生活スタイルやニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
今回は、老後も安心して暮らせるためのリフォームと二世帯住宅、見守りサービスについてご紹介しました。住み慣れた自宅に住み続けたいと考える方は、早めに老後の暮らしやすさと安心を確保するための準備を進めてみてください。
自宅の改修や見守りサービスの導入は、必要になってからではなく、元気なうちに始めることが理想です。将来の生活設計を今から考え、快適で安心できる老後を迎える準備を整えておきましょう。
