高齢者がリースバックを利用する際の注意点とは?自宅に住み続けるためのポイントを解説

高齢者の方がリースバックを検討する背景には、老後資金の確保や住み慣れた家に住み続けたいという想いがあります。この記事では、リースバックの仕組みやメリット、契約時に注意すべき点、トラブル事例についてわかりやすく解説します。

1. 高齢者に選ばれているリースバックとは?

リースバックとは、ご自宅を不動産会社などに売却した後も、賃貸借契約を結ぶことでそのまま住み続けられる仕組みです。売却によりまとまった資金を確保できるうえ、住み慣れた我が家での暮らしを維持できる点が特徴です。

住宅ローンの返済が困難な方や、老後資金に不安を感じているシニア層にとって、有力な選択肢の一つといえるでしょう。自宅から離れたくないという希望を叶えられるため、近年ますます注目を集めています。

2. よく比較されるリバースモーゲージとの違い

リバースモーゲージは、ご自宅を担保にして金融機関から融資を受ける制度です。契約者は生涯にわたり自宅に住み続けることができ、月々の支払いは主に利息のみ。契約者の死亡後に自宅売却または自己資金で一括返済します。

リースバックとリバースモーゲージには次のような違いがあります:

(1)所有権
・リースバック:売却して手放す
・リバースモーゲージ:自分に残る
(2)資金調達方法
・リースバック:不動産の売却
・リバースモーゲージ:不動産担保による融資
(3)資金受取
・リースバック:一括受け取り
・リバースモーゲージ:一括または分割受け取り
(4)毎月の支払い
・リースバック:家賃の支払いが発生
・リバースモーゲージ:主に利息のみ
(5)資金使途
・リースバック:制限なし(自由)
・リバースモーゲージ:用途に制限あり(金融機関による)
(6)対象年齢
・リースバック:特に制限なし
・リバースモーゲージ:主に50歳または60歳以上
(7)返済方法
・リースバック:毎月の家賃支払いのみ(返済なし)
・リバースモーゲージ:契約者の死亡後に自宅売却または自己資金で一括返済
(8)リフォーム・建て替え
・リースバック:原則不可
・リバースモーゲージ:条件付きで可能

それぞれの制度には長所と短所があるため、ご自身の状況や目的に合わせて慎重に選ぶことが大切です。

3. 高齢者がリースバックを選ぶ主な理由

リースバックが高齢者に選ばれている主な理由は、次のとおりです。

  • 老後資金の確保
  • 長年暮らした環境での生活継続
  • 医療費や介護費など急な出費への備え
  • 住宅ローンや債務の清算
  • 高齢者施設の入居費用の捻出

リースバックなら、自宅を手放しつつも同じ家に住み続けることができるため、生活環境を変えずに経済的な余裕を持てます。突発的な支出にも対応しやすくなるため、老後の生活の安心感が高まるのです。

4. 高齢者がリースバックを利用するメリット

リースバックを選ぶことで得られる代表的なメリットは、以下のとおりです。

(1)住み続けながら資金を確保できる

精神的にも安心な住み慣れた自宅にそのまま暮らしながら、まとまった現金を得ることができます。転居のストレスを避けられる点も大きな利点です。マンションにも対応しているケースが多く、幅広い住まいに適用できます。

(2)自宅の維持費の負担が軽くなる

固定資産税や火災保険料、マンションの場合は管理費や修繕積立金など、自宅を所有していることで発生する諸経費から解放されます。これらのコストは原則として買主側の負担となるため、生活費の軽減につながります。

(3)資金の使い道が自由

リースバックで得た資金に使途制限はなく、医療費・介護費・旅行・子や孫への支援など、必要に応じて自由に使えます。これにより、経済的不安を和らげ、より充実した暮らしを実現できます。

(4)将来的に買い戻しが可能な場合も

リースバックの契約に「買戻しの特約」がついていれば、将来的に自宅を再購入できる可能性があります。資金に余裕ができた際に再び所有者になることも可能ですが、この特約は契約時に取り決める必要があるため、詳細をよく確認しておきましょう。

5. 利用時に注意すべきリスクとポイント

高齢者がリースバックを利用するにあたっては、以下のような注意点があります。

(1)契約の複雑さと理解不足に注意

リースバックは、売買契約と賃貸借契約が同時に絡む複雑な仕組みです。特に高齢者の場合、内容の把握が不十分なまま契約してしまうと、後にトラブルとなる可能性があります。専門家の説明をしっかり受け、理解したうえで契約しましょう

(2)将来的な負担が増す恐れがある

リースバックの成約価格は市場相場の60~80%程度に留まることが多く、思ったより少ないケースも。また、売却後は家賃相場より高い家賃を支払うこともあり、将来的に資金が尽きて住み続けられなくなるリスクも否定できません。

(3)悪質業者による勧誘や詐欺に注意

一部の業者は、高齢者の不安をあおって強引に契約を進めようとするケースがあります。国や関係機関も注意喚起をしているほどで、慎重な業者選びが求められます。信頼できる相談窓口を活用しましょう。

6. 老後資金のご相談なら「SMISY」へ

今回は、リースバックを検討する高齢者の方向けに、制度の内容やメリット、注意点を詳しくご紹介しました。リースバックは老後の暮らしを支える有効な手段ではありますが、リスクを理解し、冷静に判断することが重要です。

「SMISY」では、リースバックを含めた住まいと資産活用のご相談を承っています。場合によっては、リースバックよりも高く売却できる「仲介売却」で資金を得たうえで、シニア向け賃貸や新しい住まいへ住み替える選択肢もあります。